#⑥の続編
「中国という国は、ひとつの国に色んな国家が合わさった国だね。」
以前、尊敬している先輩で今は北京で仕事をされている方が言っていたこと。東側の成長著しい富裕層とインターネットの「イ」の字も知らない西側の純朴な少数民族。上海から旅を始め、今ここに至るまでに冒頭の言葉の意味を実感していた。
世界中から麗江に集まる旅人達がその後に向かうルートは大きく分けて二つだ。一つは、トレッキングで有名な虎跳峡。もう一つがチベットらしい雰囲気の残るシャングリラだ。
ママナシで話した旅人は、前者の虎跳峡に向かうという人がほとんどだった。虎跳峡(英語で、Tiger Leaping Gorge) のTiger の部分はもう何度も耳にするくらい皆が虎跳峡の話しをしている。僕は、シャングリラからそのまま途中の街を経由して、成都に抜ける予定だったので迷いなく後者を選択した。(欧米人のほとんどは、虎跳峡にいってました。)
ママナシから徒歩で30分程のところのバスターミナルでバスのチケットを買い、シャングリラへと向かう。前の記事で、中国のバス移動の辛さについて少し触れましたが、「ニーハオトイレ」と呼ばれているように中国のトイレ事情は最悪で、もし乗車中に便意が来たらどうしようと思っていても、ニーハオトイレを想像すると自然と便意も静まっていく。この頃には、5,6時間のバス移動も苦ではなかった。
麗江から5時間程でシャングリラに到着した。シャングリラは、チベット自治州で「カム」と呼ばれる地域。今もお世話になっている横浜の旅行代理店の方に伺うところによると、このカム地域は、チベット系の中でも結構過激な人たちが多い地域で、焼身自殺を行うのもこのカム地域の方らしい。
雲南省に入ったころから、ルートを策定するにあたり色んな情報を集めていたが、シャングリラ以北に行くのは時期的に不可能(公安の取り締りなど)だと推測していた。「戦後最大の反日騒動」とも言われた騒動だが、東側の中国人と日本人は容姿に大きな差異はないので黙っていれば両者の見分けはほとんどつかない。(服装などの違いはわりと顕著だが。)しかし、西側、このチベットまでくると僕ら日本人と容姿が明らかに違う。大きな違いは、肌の色で、チベットは標高が4000m超えるような集落があるくらい高山地域であり、それ故、皆日焼けをし肌が黒い。そして、高山で生き抜く屈強でずんぐりとした体つきをしている。
もともと僕は、このシャングリラに滞在した後はバスで山越えをし、成都まで抜ける予定でいた。しかし、日本人だとばれて何をされるかはわからない不安と何よりも目的地まで事故が多いという決定的な事実とが脳裏によぎり、シャングリラ滞在初日はずっとこの先のことを考えていた。結局、考えは決まらないまま、降ったりやんだりする不安定なシャングリラの空を見つめながら、床についたのでした。(後半に続きます。)
(2012 9.14)



